くろあかのブログ

幸福とは何かを科学的に追及! 『3つの幸福』を読んで

幸福とは何か、幸せな人生とは何か――この問題に多くの方が考え、悩むのではないでしょうか。

昭和の時代には、大企業に勤めて、バリバリ残業して、結婚して、家族を持って、子をもうけて、マイホームを買って……などという人生が幸福とされてきました。

でも、今の時代はそうではありません。幸福は人によって異なります。ある人にとっては幸福でも、違う人にとっては幸福とは限らないのです。ある人にとって上記の昭和的な人生は幸福かもしれませんが、そうでない方も多くいらっしゃることでしょう。

幸福には体重のような絶対的な尺度がありません。では、幸福とは何か?

この問題に、精神論やスピリチュアル的な回答ではなく、精神科医の著書が科学的に回答しようと試みているのが本書、『3つの幸福』になります。

本書によると、幸福とは人間の脳が一定の脳内物質を出している時に感じるとのこと。……身も蓋もなく、何のロマンも感じられない回答ではありますが、実に単純で分かりやすいです。精神科医の方が書かれているだけあります。

一定の脳内物質の中で、「セロトニン」、「オキシトシン」、「ドーパミン」の3つの脳内物質に注目します。これらの脳内物質による幸福を、便宜上「セロトニン的幸福」「オキシトシン的幸福」「ドーパミン的幸福」と呼びます。

セロトニン的幸福」とは、身体や精神の健康であることの幸福。昔から「健全な精神は健全な肉体に宿る」と言いますがまさにその通り。幸福の基本は身体・精神が基本中の基本です。身体や精神が不健康であったら、幸福にはなれません。

オキシトシン的幸福」とは、他者との繋がりの幸福。友人や恋人・配偶者と繋がっている、何かのコミュニティに所属している……など、自分以外の誰かとの繋がりから生まれる幸福です。アリストテレスが「人間がポリス(社会)的動物」と言いましたが、人間は集団の中で生活しているもの。孤独は人間には向いていません。

ドーパミン的幸福」とは、何かを得たり達成した時の幸福。お金がたくさん得られた、会社のプロジェクトが成功した、試験で良い点が取れた……など。皆さんが「幸福」と聞いて真っ先にイメージするのがドーパミン的幸福なのではないでしょうか。

これらの幸福が、本書のタイトルになっている「3つの幸福」です。この3つの幸福を、セロトニン的幸福→オキシトシン的幸福→ドーパミン的幸福という風に積み上げていくことこそが幸福になれる道であると説いています。どんな立派なビルでも基礎がおろそかであればすぐに崩壊します。まずはセロトニン的幸福の土台を作り、オキシトシン的幸福の基礎をかため、ドーパミン的幸福を積み上げていきましょう。

また、本書では、3つの幸福を得る為にすぐに実践できる具体的な方法を示しています。本書は、結局何をすれば良いのか分からないような、スピリチュアル的な幸福論ではありません。実践的な実用書なのです。

私も幸福になる為、この本に書かれている方法を実践し始めました。幸福になりたい、という方は是非読んでいただきたい一冊です。

 

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目を覆いたくなる若者の貧困の実態! 『女子大生風俗嬢 性とコロナ貧困の告白』を読んで

 多くの人が「ここ数十年で日本は貧困化した」と思っているのではないでしょうか。

少子高齢化により健康保険や年金などの社会保険料は膨らみ続けています。一方で、賃金は増えません。当然のように、私たちの手取りは悲しいことになっています。

また、立場的に弱い非正規労働者が増えているのも事実です。厚生労働省が実施している国民生活基礎調査によると、男性の22.3%、女性の56.4%が非正規労働者とのこと。

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 そして追い打ちをかけるように2020年からコロナが猛威を振るい始めました。外出自粛による経済の停滞で多くの企業が危機に瀕しています。それは大企業も例外ではなく、多くの企業が希望退職という名のリストラで人件費の圧縮に取り掛かっています。

このように多くの労働者は貧困やコロナといった問題を受けています。そんな労働者を親世代に持つ若者に皺寄せがくるのは、想像に難くないでしょう。

ここで紹介するのが中村淳彦著『女子大生風俗嬢 性とコロナ貧困の告白』です。中々衝撃的なタイトルですね。この本のテーマになっているのは、若者の貧困となっています。

著書はライターで、取材を通して社会問題を可視化することが特徴です。私はこの人の書く本が好きで、『東京貧困女子。』や『新型コロナと貧困女子』なども読んでいたのですが、今回も衝撃的な内容でした。

非常に高い大学の学費、そして親世代の貧困・無理解から風俗という道を選ばざるを得なかった女子大生や、ゲイ風俗で働く男子大学生のエピソードが綴られています。

正直、読んでいて気持ちの良い内容ではありません。この本には、彼女ら・彼らの生の声が淡々と綴られており、読んでいると辛い気持ちになってきます。

しかし、日本は若者をここまで追い込んでいる、という事実は、多くの人が知る必要があることだとも思います。

本書は若者、ひいては日本の貧困問題が理解できる名著だと思います。この社会と向き合う為に、是非とも読んでいただきたい一冊です。

 

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私たちはスマホに依存している! 『スマホ脳』を読んで

 
最近、アンデシュ・ハンセン著『スマホ脳』という面白い本を読みました。 著者はスウェーデンの有名な精神科医だそうです。

売れている本ということでポチッてみたのですが、これが中々衝撃的な内容でした。『スマホ脳』という強烈なタイトルの通り、スマホと私たちの脳に関する本になります。

スマホはここ10年くらいで爆発的に普及しました。NTTドコモ モバイル社会研究所の2021年1月の調査によると、スマホの所有率は92.8%だったそうです。ほんの10年くらい前まではほとんど誰も持っていなかったことを考えれば、驚異的な所有率と言えるでしょう。

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そんなスマホに、私も含め多くの人間が依存し切っています。

電車では誰も彼もが俯いてスマホを使っていますし、レストランでは恋人や友人同士でいるにも関わらず無言でスマホのスクリーンを見ている光景は珍しくありません。

これらは異常な光景だと、多くの人が感じているのではないでしょうか。でも、誰もこのことを指摘しようとはしません。スマホが私たちにとって魅力的すぎるからです。

 

著者はスマホの問題点を人類の進化論的な観点から説明します。この説明が明快で非常に分かりやすい! 私たちの脳はサバンナで狩猟していた頃から何も変わっていないという説明は、目から鱗でした。

 また、著者はスマホが子供の発育に悪影響を与えるとしています。教育大国で有名なスウェーデンの異常事態についても本の中で紹介されています。

スティーブ・ジョブズが自身の子供に iPad を触らせなかった。ビル・ゲイツの子供が14歳になるまでスマホを持たなかった。IT の頂点に君臨した彼らの行動が、全てを物語っているように思えてなりません。

私も、スマホとの付き合い方は考え直さなければならないと思いました。今ではほとんどのアプリの通知をオフにして、寝室に持ち込まないようにしています。

スマホに依存している現代社会を生きる人々には、是非読んでほしい一冊だと思います。

 

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